首都圏マンション、売れ行き好調物件が大幅減

分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2016年に首都圏で分譲されたマンションの販売状況を調査したレポートを発表した。

 同年は販売戸数は激減したものの、物件の小規模化が進んだことから、調査対象物件数は15年比54物件増の495物件となった。販売状況等がヒアリングできたのは410件で、このうち売れ行きが好調だったのは124件で全体の30.2%(前年:40.8%)。15年は売れ行き好調だった23区(調査物件数214物件)では好調物件が69物件・32.2%(前年:47.3%)と大幅に悪化。都下(調査物件数30物件)も26.7%(前年:31.7%)、神奈川県(調査物件数88物件)も38.6%(前年:448.5%)と落ち込んだ。すべての都県で好調物件比率が減り、「まずまず」「苦戦」物件の比率が高まった。

 東京23区は、城南・城西を中心に駅遠物件の増加、エリア・沿線の利便性評価の低下、単価上昇に伴うグロスのミスマッチなどを理由に苦戦物件が増加。都心部も立地面での差別化ができない坪単価400万円台の苦戦物件が増加した。城北エリアのみ、良好な交通利便性と駅近立地の割に割安感のある価格設定が評価され好調物件が多かった。

 ほぼすべてのエリアで、好調・苦戦要因の上位は「価格(割安感・割高感)」「立地」だったが、総戸数100戸以上の物件では「集客難」や「需給バランスの悪化」を苦戦理由に挙げる比率も高まる傾向があった。

 また、調査物件の駅距離別に売れ行きをみたところ、徒歩9分を境に好調物件比率と苦戦物件比率が逆転し、その境目が8分から9分となったものの傾向は前年と変化はなかった。しかし、徒歩5分圏内の物件が割高感や沿線・駅力、需給バランスなどを背景に、苦戦物件が大幅に増えていた。

 今回の調査結果について同社は「価格が上昇する中、立地で差別化できない物件がユーザーに受け入れられていない。郊外ではメインターゲットの中小企業勤務・専業主婦世帯の動きが停滞し、集客難による苦戦事例が目立ち、特に総戸数100戸以上の大型物件の販売リスクが高まっている」と分析。「価格のもう一段の上昇によりエンドユーザーの立地選別のハードルがさらにもう一段上がってきている」とし、「用地仕入れは、よりメリハリをつけた戦略が必要」と提言している。

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