国土交通省は23日、「空き地等の新たな活用に関する検討会」(座長:早稲田大学大学院法務研究科教授・山野目 章夫氏)の初会合を開催した。
国土審議会土地政策分科会企画部会が昨年8月にとりまとめた「土地政策の新たな方向性2016」では、土地の「最適活用」「創造的利用」「放棄宅地化の抑制」に関する新たな施策を講じていくことが示された。
これを踏まえ、同検討会ではさらに具体的な空き地等の活用方法などの検討を行なっていく。
冒頭挨拶した同省土地・建設産業局長の谷脇 暁氏は、「現在、特に別荘や賃貸・売却用住宅を除いた『その他の住宅』の空き家が約320万戸に急増している。そのうち、利活用が有望なストック数は全国で50万戸にも満たない。利活用が望めない残りの約270万戸の空き家が除却された場合、空き地化する可能性が高く、有効活用や適正な管理が課題となる。農林水産省や林野庁、法務省などとも連携し、ただ空き地化して放置されることを防ぐための対策を検討していきたい」などと述べた。
事務局から、同検討会で検討の対象とする空き地の定義について言及。空き地を「建物等の定着物がない宅地のうち日常的な利用がされていないもの」、空き地等を「空き地、空き家(近い将来、除却が見込まれるものに限る)の敷地」とした。空き地等をめぐる現状についての発表の後、(1)空き地等が地域に与える影響および対策を講ずべき意義、(2)空き地等が抱える課題に関する適正な管理・活用方策の今後の方向性、(3)空き地等の創造的活用に関する具体的な施策、を検討項目として提案した。
今回の検討会では、自治体および民間における事例を紹介。長野県上田市長の母袋創一委員は、同市が行なってきた空き地・空き家・空き店舗再生の取り組みを発表し、「空き家の積極的な利活用の少なさや、空き家仲介における小額物件に対する報酬とその実務量の格差などが課題」と話した。大和リース(株)新規事業推進室室長の小林秀人委員は、同社の土地活用の手法を紹介し「空き地の利用促進のためには、5年、10年の短期間でも暫定的に利用・管理することを推進することも必要ではないか」と課題を挙げた。
参加した委員からは、「土地所有者と利用者とのマッチングが重要」「安心・公正な取引のためには行政と民間の連携が求められている」「土地を有効活用した戸建てやマンションに若い世代が住まい、まちの活性化につなげることが必要」「確たる成果を得るためには、明確な評価基準のもと取り組んでいかなくてはならない」といった意見が述べられた。