地場不動産仲介業の景況感に明るい兆し

(株)不動産流通研究所は、2016年10~12月期の「地場不動産仲介業における景況感調査」の結果を公表した。アットホーム(株)に研究委託し、四半期ごとに実施している調査。

 北海道、宮城県、首都圏、静岡県、愛知県、近畿圏、広島県、福岡県のエリアごとに前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」が前年並み。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、同一都道府県内で5年を超えて不動産仲介業に携わる2万4,305店の経営者層を対象にインターネットで調査。有効回答数は624店。

 16年10~12月の賃貸仲介DIは、北海道52.5(前期比4.4ポイント上昇)、宮城県27.3(同0.8ポイント上昇)、首都圏39.9(同0.5ポイント低下)、静岡県39.4(同1.1ポイント上昇)、愛知県38.1(同2.8ポイント低下)、近畿圏41.9(同5.2ポイント上昇)、広島県50.0(同変化なし)、福岡県41.7(同4.9ポイント低下)。北海道でDIが50を超えたほか、5エリアでDIが改善した。

 17年1~3月期の見通しDIは北海道47.5、宮城県38.6、首都圏44.9、静岡県44.2、愛知県50.0、近畿圏50.4、広島県45.8、福岡県49.1となった。慎重な見方は続いているものの、7エリアで前期の見通しDIを上回り、市況回復への期待をにじませる。

 回答した不動産会社からは、「物件を決めていただくまでの期間が短くなった」(千葉県船橋市)といった声がある一方で、「お客さまの条件がより厳しくなった」(東京都町田市)、「希望賃料帯が下がり、問い合わせから来店につながらない」(神戸市)など、ネガティブな声も少なくない。東日本大震災以降、空室不足が指摘されていた東北エリアでは「空室が増え、より希望に近い物件を選んでもらえるようになった」(宮城県石巻市)というコメントも。

 売買仲介DIは、北海道51.4(同5.3ポイント低下)、宮城県43.1(同4.2ポイント上昇)、首都圏43.0(同1.6ポイント上昇)、静岡県33.6(同10.3ポイント低下)、愛知県36.1(同10.6ポイント低下)、近畿圏49.6(同5.0ポイント上昇)、広島県46.4(同15.1ポイント低下)、福岡県47.6(同10.4ポイント低下)と、4エリアで前月を10ポイント超下回った。前期にDIが大きく改善したことによる反動とみられる。

 17年1~3月期の見通しDIは、北海道47.2、宮城県38.9、首都圏45.5、静岡県42.8、愛知県43.9、近畿圏51.1、広島県42.9、福岡県55.6となった。前期の見通しよりも改善しているエリアが多く、近畿圏と福岡県では50を超え、前年よりも市況が改善すると見込んでいる。

 不動産会社からは物件価格の上昇を指摘する声が多く、「お客さまの予算がついてこられなくなった」(多数)、「無理して購入しなくても賃貸で良いと考える消費者が多い」(広島市)などといったコメントが聞かれた。

お問い合わせ メール
地図